今年度(23年度)より、定年が延長され61歳となりました。歓迎される方、嘘だろうと思う方、2通りおられると思いますが、ここでは60歳で定年することを期待されていた方に向けて、書いていきたいと思います。
自分(定時制高校勤務、地歴公民)の場合を振り返ってみますと、50歳を過ぎたあたりから、体力的な衰えと同時に気持ちの面でも新しいことにチャレンジする心がなくなっていきました。前年踏襲で経験値のみでやり過ごしていたと思います。
50代の後半に、「総合的な学習の時間」の中で進路学習を行うこととなりました。当時、進路指導部にいた私には、仕事が降ってきた感じでした。新しくカリキュラムを考えたり、各方面に協力を仰いだり大忙しでした。追い打ちをかけるように、進路学習の時間をさらに確保するために「産業社会と人間」という学校開設科目まで設定して、進路学習を行うこととなりました。すでに作った総学の時間をスクラップ&ビルトし、カリキュラムを作りました。それが形になってきたかと思うと、次は「キャリア教育」が降ってきて、「キャリア・パスポート」を作ることとなりました。
さらに追い打ちをかけたのが、学習指導要領で地歴公民の科目の変更。新しい「公共」という科目の登場。次から次と自分の意志と反して新しいことをやり続ける状況で、この仕事から逃げたいと思うようになりました。会社員の方のそうかもしれませんが、他律的に生きる(社命に従って生きる)ことで溜まるストレス、自分はこの職業しか体験していませんが、それで、人生が終わっていいのだろうか。何か違うことをやってみたい。そんな思いが徐々に大きくなっていきました。結論として、自分の定年は60歳でそれ以後は別のことをする。じゃぁ、何をする?
進路指導の仕事をする中で、外部講師に来ていただいたことがあります。進路相談員という肩書とともに「キャリアコンサルタント」という資格が書かれていました。これが、今の自分の職業との出会いです。外部講師の方が生徒となごやかにお話されている姿を見て、自分もああなりたいと思いました。自分の今の原点です。
嫌々やっていた進路学習のカリキュラム作りが次の仕事への手がかりとなりました。資格取得のための勉強では覚えることがたくさんあり、60歳の頭では暗記できそうもないと思うこともありましたが、キャリアについて色々学んでいくことはカリキュラム作りをやっていたことの種明かしをされているようで興味深かったです。
自分のことを一般化して、皆さんも定年前に辞めましょうという気は全くありません。ですが、ご自身の人生なのですから悔いのないように生きていただきたい。そのためには他律的ではなく自律的に、自己決定に基づく日々を送っていただきたいと思い書かせていただきました。